チビチビのこと



……このHPの準備を始めた5月始め、実家で飼っていた猫が死にました。
肺に腫瘍ができていて、わかった時にはもう手遅れだったんだけど、
それでも何とか生きてほしくて、妹は毎日病院に連れていってたけど、やっぱりだめでした。
それでも丸々13年生きたから、猫にしてはまあまあ長生きな方だったと思う。
でも、死ぬ寸前まで、誰もこの子が本当に死ぬなんて、
私も家族も、考えたこともなかったんだよね。
この家からも、世界中のどこからも、いなくなってしまうなんて。

会社を辞めてこの仕事を始めた時に私は、家を出てしまっていたので、
臆病な彼女は、もう私のことは本当の家族とは思っていなかったから、
あんまり仲良くしてもらえなくなっていたのだけれど、それでも私にとっては大切な存在でした。

GWの最後の晩、もうぼろぼろだったはずの彼女が、突然元気になって、
妹の腕の中でごろごろ喉を鳴らしていて、
私が抱いても、やっぱり気持ちよさそうにしてて、もしかして奇跡が起きるんじゃないかって、
本当はそんなことあるわけないのがわかっていたのに、
やっぱりみんなでそう祈ってしまった。

でも、その翌日の午後、会社に行っていた妹も、
たった5分しか離れていない仕事場にいた私も間に合わないほどあっけなく、
母だけに見取られて、彼女は死んでしまいました。

よその人が来ると押し入れに一日でも隠れてるような臆病もののなくせに、
すごくプライドの高い猫だったから、苦しんでいくところなんて見られたくなかったんだよね。
そして、あの晩元気になってくれたのは、最後の最後に、私達に
「ありがとう」と言っていたんだと、そう思いたいです。

あんな小さな身体の、言葉も話せない動物が、どうして死を目の前にした時、
あんなに気高い存在になってしまうんだろう。
遠くを見つめていた彼女の目が、それでも何もできない私達を許してくれてるようで、
それがよけいに辛かったけれど。

今でも、時々思い出すと、すごく悲しくなる。
何でもないところでぽろぽろ涙を流したりしてしまうのだけれど、無理に立ち直ろうとは思ってないの。
それでもきっと少しずつ、彼女とのことは思い出になっていくだろうけど。
しばらくは悲しいままでいてもいいんだと思ってる。
一見普通の生活に戻ったようでいて、ふいに何かの拍子にスイッチが入ってしまった誰かが、
突然泣き出してしまうのにも、大分慣れたしね。
……あじの開きを食べながらぽろぽろ泣いてる私は、間違いなくかなり変な人ですが。



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